知っている方もおられるかと思いますが、パスタをゆでる際に塩を入れるべきか?そうでないか。という論争が数年前から起こっています。
発端は、東京家政大学大学院・家政学研究科の教授が塩をいれる理由について否定したことに始まりました。
これに、様々な意見が交わされ、いろんな主張がでてきているのです。そんな中今回は、料理人である私がコレについて思うことを書いていきたいと思います。
ちなみに私は、15年間のあいだフランス料理に携わってきたものです。
今回、パスタということで、専門のイタリアンの料理人ではないのですが、そこは大目に見てくださいね。
パスタをゆでるのに塩入れても意味ないと言う教授に料理人が反論します!!
結論から先に言ってしまうと、パスタをゆでる時には塩は入れたほうがいいです!!
ではどうしてこういうことになっていったのかまずは、その教授がどんなことについて否定し、意見したのかを見ていきながら進めましょう。
パスタをゆでる時の教授の主張
一般的にパスタをゆでる時に塩を入れる理由としてはこれが挙げられます。
■麺中のタンパク質成分が外に溶け出さないようにするため
■お湯の沸点を上げて、麺の食感をよくするため |
■麺中のタンパク質成分が外に溶け出さないようにするため→これに対し教授は、「濃度が濃い食塩水の中では、事実タンパク質は溶け出しにくいが、お湯1パーセントぐらいの塩の量ではそんなの関係ない!」と言っています。ちなみにパスタをゆでる時の基本的な塩の量はお湯に対して1パーセントです。
■お湯の沸点を上げて、麺の食感をよくするため→これに対しては、「お湯1パーセントほどの塩の量では、沸点はほとんど変わらないといっても良い」と否定しているのです。
パスタをゆでる際の塩を入れる理由には、意味がないと述べているのです。
これを聞いて料理人である私が思うことは、「タンパク質と塩との科学的な作用の勉強や実験などはした経験がないので、そういわれると教授の意見が正しいと思います。」
論理的に間違いはないと思いますが、私も含め料理人たちはもう少し違うところに重要性を感じているのです。
料理人の考えるパスタゆで時の塩の必要性とは・・
私たち料理人が考える塩の必要性は、先ほど教授が否定していたソレとは少し違っているのです。
細かいことを書き出すととんでもなく長くなりそうなので、わかりやすく簡単に挙げてみます。
■パスタソースとの塩分濃度の関係
■麺の食感をよくする ■単純に味が入り込む |
■パスタソースとの塩分濃度の関係→さきほどは、「麺中のタンパク質成分が外に溶け出さないようにするため」という理由に否定していましたが、料理人はのちに、からめるソースとの関係を大事にしています。
パスタに塩分を含ませておかないと後に絡めるソースが持っている塩分濃度との浸透圧の関係でパスタから水分がどんどん抜けていくのです。
つまり、お皿の中が水っぽくなってしまい味が薄くなってしまうのを防ぐために入れるものなんです。
■麺の食感をよくする→お湯の沸点を上げて、麺の食感をよくするためとなっていましたが、沸点を上げることによる食感の変化ではないんです。
余裕ある水の量で沸騰さえしていれば、パスタ同士がくっつかずにちゃんと茹でることができるんです。差し水などは厳禁ですが、パスタ表面もベタつかず・ザラつかずに舌触りも問題ありません。
否定していることの論点がずれていることになります。(料理人からすればの話)
■単純に味が入り込む→なんといってもこれがいちばんのポイントでしょう。塩ナシと塩アリでパスタをゆでた場合、茹で上がったパスタの味がぜんぜん違いますよ!!
塩アリはちゃんとパスタの中にまで塩味が入り込んでいて、噛むたびに小麦粉の風味と塩味のハーモニーがしっかり感じられます。やっぱりこれってパスタの醍醐味じゃないですか。塩味はまとまりのあるマイルドな印象です。
逆に、塩ナシのほうは茹でたパスタに塩をからめるというイメージになります。
とうぜん、ソースとのまとまりがなく一体感がなくなります。塩味もとがった印象になります。
以上の理由からわたしは絶対にパスタをゆでる時は塩を入れたほうがいいと思います!
今回の件を私なりにまとめるとこうなります。
●否定論がそもそも味に直結するものではなかったというコト。
●おいしくパスタを食べるには塩で茹でるべき。
ですねっ!!最後にせっかくですからパスタを美味しく茹でるコツを紹介して終わりましょう!
パスタをおいしく茹でる基本的なポイント
パスタをおいしく茹でるためには基本的なコトが分かっていたほうがいいです。それから好みに合わせて応用していくカンジですね。
~パスタを茹でる基本~
パスタの量:1人前→80グラム~100グラム(だいたいの目安は親指と人差し指でつかめるくらい)
茹でるお湯の量:1人目→1リットル 2人前→2リットル(パスタ同士がくっつかない量)
茹でる塩の量:お湯に対して1%が基本。
●1人前(パスタ80~100グラム)→1リットル(湯の量)→10グラム(塩の量)
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あと茹でてる最中に、吹きこぼれそうになっても差し水は絶対にダメですよ!一気に湯の温度が下がり、パスタ表面がベタついてしまい、ボソボソの舌触りになってしまいます。
ふきこぼれ防止には、オリーブオイルを少し入れるといいです。あと裏技ですが、スプーンを1つ入れるとふきこぼれないです。対流のサイクルが変化することでふきこぼれないようです。
どうでしたか??なんだかパスタが食べたくなってきましたね。ベーコンたっぷりのトマトパスタが食べたい~~。
明日はみんなでパスタを作りましょう。
パスタは無限にレシピが存在します。
正解なんてありません!!
楽しみながらみなさんそれぞれのパスタライフを満喫してくださいね!!!