あなたのその気持ち痛いほどわかりますよ!わたしも駆け出しの料理人時代は、先輩コック・シェフにまかないをつくるのは死ぬほど嫌でしたから。
~あなたと以前のわたしの気持ち~
■自分の料理に自身がない ■変なものだと怒られるかもしれない ■料理の腕を見透かされそうで怖い ■通常営業に追われすぎて作る暇が無い ■後輩にどう思われるか不安 ■レパートリーが少ない
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こんなところではないでしょうか?
しかし、まかないを毛嫌いしているほどもったいないコトはないのです。
なぜなら、料理人における「まかない」は、チャンスの宝庫だからです。
今でこそ、まかないの大切さに気づける私から、下積みを頑張っているコックさんへのエールです!!
下積み料理人の人へ覚えておいて欲しいまかないの重要性とは
まず結論から言うと、まかないの重要なポイントはこれらにあります。
■自分で料理の構成を組み立てられるようになる
■認められる絶好のチャンス
■ポジション移動もありえる
あんなに嫌いだった「まかない」にはこんなチャンスが隠されていたのです。
自分で料理の構成を組み立てられるようになる
まず、下積み中のコックさんはレストランのなかでは自由に行動することはほぼ不可能です。
決められた料理を決められた時間内に、キレイにそして迅速に作ることを要求されます。
そこには、オリジナリティーは求められていません。
しかし、まかないは違います。自分の思ったように作ることができるのです。下準備から完成へのプロセスをすべて自分で行える唯一の時間なんです。
逆にそれが難しいことも確かなのですが、これができるようにならないと料理人とは言えません。
一人前の料理人になるための、最高の修行時間でもあるのです。
認められる絶好のチャンス
悲しいかな、賄を食べてくれる先輩方は基本、あなたの料理に期待はしていません。ただご飯を食べるだけのひとも多いはず。
しかし、なかにはアドバイスをくれるやさしい先輩も出てくるのです。
やさしい先輩も出てくるとはいいましたが、やっぱり条件はありますね。。
あなたが、ヘタなりにも一生懸命作っていればの話です。
相手はプロの料理人です。一口食べればどんな気持ちで作ったかなんて手に取るように分かるもんです。
「上手くなりたい、もっと勉強したい」と思い続けているのなら、必ず親身になってくれる先輩は現れるはずなんです。
もしも、いくら頑張っても反応しない人たちならその職場は辞めるべきです。もっと良い環境はたくさんありますから。貴重な下積み時代の時間を無駄にしてはいけません。
ポジション移動もありえる
さきほどの話とも少し、重複するのですが、まかないはポジション移動のきっかけにもなり得ます。
フランス料理の世界を例に挙げるとポジションのステップはこうです。
●デザート→前菜→魚→肉→ソース→スー・シェフ→シェフ
だいたいの人は、ひとつのポジションを何年かづつこなしながらステップアップしていきます。
しかし中にはラッキーボーイも出てきます。そのキッカケとなるのが「まかない」なんです。
とうぜん、賄いはそのお店のシェフ(料理長)も食べるわけです。
そこで、シェフは気づかされるのです。「思っていたよりも味付けがうまくなったな」とか「ここまで出来るようになっているのなら、そろそろポジション移動させてやるか」など。
シェフにもなれば、その人が作った料理を食べれば、料理の腕前は分かるものです。
お店のシェフに自分の成長を見てもらえる絶好の機会なのです。
ちなみに私もあるお店で、まかないの後にシェフに呼び出されてこういわれた事があります。
「来週からソースやってみるか?」
泣きそうになるくらい嬉しかったのを覚えています。
あんなに嫌だったまかないを頑張っていた甲斐があったものです。
だからこそ、みなさんにも味わってほしいのです。
憧れのシェフに認めてもらえた、あの忘れられない瞬間を・・